セイフティーネットとしての医療は崩壊寸前。それをテレビにて国民に伝えています。
現在、テレビ東京の医療バラエティー番組、“主治医が見つかる診療所”にレギュラーとして出演しています。この番組に私が出演している理由は以下のメッセージを視聴者に機会あるごとに伝えたいからです。(1)医療は100%安全ではない。(2)おおくの医療機関は精一杯献身的な努力で、医療というセイフティーネットを支えている。(3)国民皆保険は守られるべきである。(4)医療費は当然に増加するもので、政府が抑制する理由が全くわからない。(5)このままではセイフティーネットとしての医療は崩壊する。
閉鎖的で、権威主義で、既存利益保持の団体であると思われがちな医療の世界をもっともっとオープンにして、国民の医療に対する正しい理解を求める必要があると思っています。幸いにも、“主治医が見つかる診療所”はメインキャスターの草野仁さんの意向もあり、幅広くいろいろな意見をとりあげてくれます。わたしは、医療界の代表、勤務医の代表として上記のことを一生懸命発言しています。
わたしが患者と現状の医療の溝を感じるようになったのは、帝京大学で本邦初である保険診療でのセカンドオピニオン外来を2003年に始めてからです。その当時は日本中からセカンドオピニオンのために患者さんが訪れました。ひとり一時間じっくりとお話を伺う中で、なぜこんなにうまく機能していて、世界標準の医療を提供しているすばらしい我が国の医療の現状が理解できないのだろうと思うことが多々ありました。
わたしが日頃感じていること、そしてセカンドオピニオンを通じてさらに感じたことは、(1)100%の安全をもとめる“ゼロリスク症候群”患者さんの増加、(2)ごねれば徳をするという誤った認識、(3)文句ばかりをいう人たち(境界型)の増加、(4)医療は空気や水と同じで無料と勘違いしている多くの国民、(5)現状の医療は医師の献身的な努力で支えられているといることが理解できていない、(6)刑事司法までが医療に不必要に介入し日本の医療は崩壊寸前。
このような現状を造りあげたのは視聴率優先のマスコミに相当の責任があります。しかし、それを今更非難しても国民は理解しないでしょう。わたしはそのマスコミを通じて少しでも医療サイドの献身的努力を伝えたいと思っています。
|