未病外来

血管外科医として動脈硬化症による動脈閉塞性病変に半生を捧げ多くの患者さんを治療してきました。手術だけの時代から、カテーテルによる風船治療が可能となり、そして薬物療法が進歩し、多くの患者さんがその恩恵を受けています。しかし、動脈硬化症の患者さんの予後は不良です。下肢の動脈に動脈硬化症による狭窄や閉塞があるひとの生存率は、胃がん、大腸がん、乳がんよりも悪いのです。いくら治療をしても限られた人生しか残っていません。医者としてやるべきことは、患者さんが、患者さん予備軍がそういう状態にならないように、未然に防ぐことだと悟りました。

パリ・ダガールラリーという自動車レースがありました。出発地のパリでは新品のレースカーが、レースが進むにつれてどんどんと傷がつき、故障が起こり、そしてゴールにぼろぼろで辿り着きます。それが人生だと患者さんに説明しています。最初から無茶苦茶な運転をして車をいじめて走っていると、そのつけは後半生にどっと跳ね返ってきます。そのときにひとつひとつの部品を一生懸命治しても体全体を酷使した結果はリタイアでしょう。完走するためには最初から大切に車を扱うべきです。

なんとなく調子が悪い。でも医者にいっても病気ではないと言われる。医者に行く勇気もない。そんな経験はありませんか。それは西洋医学的病気がはっきりする前の前兆かもしれません。前兆のうちに、自分の体の異変に気がついて、養生をしてはどうでしょうか。

現代人の基本的な養生は、禁煙、減酒、減食、散歩、ストレスの軽減、そして漢方薬です。是非、みなさんのからだが完全な不調に陥る前に、異変を自覚し、人生を修正しませんか。そんな人を応援します。

未病外来
場所　：帝京大学医学部付属病院
日にち：月曜日午前・午後、水曜日午前・午後、金曜日午後
担当医：新見正則